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『ジョゼと虎と魚たち』から学ぶ差別と社会

memo-beside-tulip 少数派のつぶやき

アニメ化されると話題になった、『ジョゼと虎と魚たち』という映画を知っていますか?
ジャンルは恋愛映画となっているようですが、実はもっと深い作品なんです。

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ジョゼと言えばあの映画

突然ですが、『ジョゼと虎と魚たち』という映画を知っていますか?
冒頭から、「ジョゼ」って何?と思われたかもしれませんが(笑)、この映画に出てくる主人公の名前です。
ジョゼ役の池脇千鶴さん,お相手役の妻夫木聡さんが主演、犬童一心監督の邦画です。

乳母車が坂道を転がる強烈なシーン…と言えば、ピンとくる人もいるかもしれませんね。
大ヒットする類の派手な作品ではありませんが、一番好きな映画にこの作品を挙げる人は、ちらほら見かけます。
私の主観で気づいたのですが、HSP気質の人には結構多いみたいです。

ジャンルは何かと言いますと、恋愛物語(ラブストーリー)に分けられているようです。
映画サイトのレビューを見ても、切ない恋愛模様といった感想が多いですね。
私も初めて観たときは、繊細な恋愛感情を表現した見事な演技に、胸を締め付けられたものです。

色々な捉え方ができる奥深さ

その後も、ふと思い出したように観返したくなるので、DVDを購入しました。
実はこの映画、単なる恋愛物語ではなく、色々な捉え方ができる奥の深い作品なのです。(だから一定の支持があるのでしょうね。)
好きが高じた私は、以前に新宿の某ミニシアターで行われた、犬童監督と池脇さんのトークショー付き上映会に行ったことがあります。
トークショーの中で、犬童監督も作品の捉え方について言及されていて、思わず納得させられました。

私は、本作品を観返していくうちに、障害者とか部落とかいう根深い問題に切り込んでいる作品だと、強く感じるようになりました。
「不遇な境遇に生まれ育った足の不自由なジョゼが、大学生である恒夫と惹かれ合い、一度は外の世界へ連れ出されるものの、越えられない壁への葛藤に苦しむ…」(著作権上の問題から、具体的なストーリーは割愛します。)
この辺りの展開が、障害者と世間一般とを取り巻く闇を、鋭く風刺しているように感じたのです。

余談ですが…
いわゆるタブーなテーマに切り込んだ作品は、万人受けしないのが映画界の常識だそうです。
犬童監督も、「自分の作品は万人受けしないから、DVD化されないんだよね」みたいなことを、苦笑いしながら話されていました。

障害者の社会参加の現状

世の中は「障害者にやさしい社会」を掲げる一方、それに付け入るクレーマーのような人が、ちらほら見受けられます。
簡単に言うと、何でもかんでも「配慮するのが当たり前だろ」と、主張ばかりする人です。
これは、体罰とモンスターペアレントの問題に通ずる、バランスを欠いた状況になっている気がするのです。

難しい問題ですが、個人的には「場をわきまえていない」ことが、トラブルの一因にあると思います(私も身体障害者なので、失言のつもりはありません。)
例えば、背の小さい人が警察官になりたいと努力しても、身長制限の規定上なれないことがあります。
どんなにクレームを入れたところで、改善のしようがありませんよね。
これと同じで、何でもかんでも配慮を求めるのは、いささか滑稽に感じるのです。

もちろん、社会の側にも原因はあると思います。
世間の風潮にあおられ、障害者への配慮が過ぎていると感じるのです。
過度な配慮や特別扱いは、それはもう配慮ではなくて、逆差別になっていますよね。
世間は「平等な社会を…」と謳いますが、「平等という名の不平等」になっていると思うのです。

ぜひお勧めしたい作品

『ジョゼと虎と魚たち』は、このような現代社会の捻れを予言して、問題提起している作品だと思っています。
単に、恋愛映画として見終えるには、非常にもったいない題材です。
ジョゼの生きる姿勢には、凛としたものがあって、少数派の人にとって学ぶことが多いです。

もちろん、別の捉え方もあると思いますので、まだ観たことがない人にはお勧めです。
ちなみに、ミュージシャン「くるり」が担当する主題歌『ハイウェイ』も、映画の雰囲気にとてもマッチした良曲ですよ♪

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